時代の変化が激しい昨今、世界は大きな転換期を迎えています。 機械化やAIの発達が著しい中、 今を生きる子どもたちが大人になった頃にはどのような時代になっているでしょうか。指示されたことを指示通りに成果を出すといった仕事は機械が行うと言われています。
現代は多くの習い事をこなすような詰め込み型の教育が流行しています。大人としては、子どもが目に見える技術や成果を身につけると良い教育をさせてあげられていると安心するものです。しかし、それに重きを置かれた子育てや教育には警鐘を鳴らさずをおえません。上記のように、人間よりも効率や正確性、知識の蓄積の勝る機械が多くの仕事を奪う時代が、もうすぐそこまで来ています。これからの時代を生き抜くためには、人間にしかできない、人間だからこそできる力を養う必要があります。
機械は1を100にも1000にもできますが、0から1を生み出すことはできません。人は言葉や心で対話をし、試行錯誤をすることで、新しいことを創造することができる生き物です。このような力を育むためには、幼児期に十分な遊びによる学びが必要不可欠です。遊びは自由で楽しいからこそ、学ぶ意欲や忍耐力を育み、共通の遊びから社会性や思いやりを学び、主体的に物事を取り組む力を養います。これらは大人になっても続く「生きる力」となります。幼児教育の世界でも、遊びの重要性が今、再認識されています。当園では、協調性を養うために、一斉活動や専門の講師による指導、基本的な姿勢や礼儀を生活の中で正すといった教育もありますが、正課の時間に教育者の一方指示的な指導に偏らず、自由な遊びを多く行っているのは、そのためです。
相模栄光幼稚園は1967年(昭和42年) に開園し、地域の皆様に支えられながら半世紀を越えました。 創設者の永井幸作は「幼稚園は花を咲かせるところではない。根を張らせ、葉を繁らせ、幹を太くするところである。」 という言葉を残しています。目先の表面的な結果や成果にとらわれず、将来、子どもが花開くために、安心し自己発揮できる環境の中で、たくさん遊び、集団生活から社会を学ぶことで、これからの人生の土台である人格形成の基礎を培うことが当園の教育の心となっています。
私自身もちょうど子育て世代になります。子を育てる親として、教育者として、今を生きる子どもたちが社会や人に対して積極的に関わり貢献しながらも、明るい希望を持ち、意欲的に取り組む中で、自らの力で自身の幸せを見つけられる大人へと成長してもらいたいというのが私の一番の願いです。次世代を担う子どもたちの未来が豊かなものとなるように教育・保育に励んで参ります。